見えないものを見たい、これは有史以来、人間の根源的な知的欲求と言えます。約300年前にレーウェンフックらが眼鏡のレンズを組み合わせて顕微鏡の原器を作って「目には見えない小さなものを見る」ようになって以降、人類のあくなき挑戦は今や、細胞や分子の形・動きを精緻に捉え、生命の本質に迫る力を我々に与えています。昨今のイメージング技術の長足の進歩には目を見張るものがあります。技術革新は、常に学問の進歩につながります。我々科学者にとっては、最先端技術にいかにしてキャッチアップするか、そしてそれを使いこなすかが、その成否の鍵を担うといって過言ではないでしょう。しかしながら、それは決して容易なことではありません。 

 この度、世界最先端の光学顕微鏡技術を有する株式会社ニコンと、世界最高レベルの医学・生命科学研究が日夜なされている大阪大学との共同事業として、「大阪大学・ニコンイメージングセンター」が開所しました。本センターでは常にニコン社の最新の光学機器が設置され、それを駆使して大阪大学にて最先端研究を展開します。また、それらの研究成果がさらに次世代の光学機器開発につながることで、好循環サイクルが形成されます。なお、同様のニコンイメージングセンターは、ハーヴァード大学やUCSD(いずれも米国)やハイデルベルク大学(ドイツ)、キングスカレッジロンドン(イギリス)、キュリー研究所(フランス)、A-Star(シンガポール)など、世界の主要な研究機関に設置されておりますが、大阪大学・ニコンイメージングセンターも、本邦を代表してこれらの国際コンソーシアムの一翼に加わり、日本のイメージング生命科学のプレゼンスを高めていきます。特に、大阪大学・ニコンイメージングセンターでは、大阪大学が得意とする生体イメージング(=生きた動物内での細胞・分子の動きの可視化)に照準を当てた、世界で初めてのイメージングセンターとなり、世界から大きな期待を集めています。 

 本センターは大阪大学に留まらず、日本や世界に向けてもオープンな組織です。最新のイメージング機器と可視化技術がそろっています。共同機器利用や共同研究提案など、いつでもお気軽にご相談ください。共に世界のイメージングサイエンスの地平を開拓しましょう。 

2020年9月30日 

大阪大学・ニコンイメージングセンター長
大阪大学大学院医学系研究科 生命機能研究科 教授

石井 優